2026年、ホテル朝食はこう変わる｜外注・人手不足時代のトレンド予測

公開日：2025-12-15 / 最終更新日：2025-12-15

著者：ホテル朝食プロジェクト

はじめに｜2025年の終わりに、現場から見えたもの

2025年も終わりに近づき、ホテル業界では一年を振り返ると同時に、来年・再来年をどう迎えるかを考える時期に入りました。特に朝食部門は、日々の運営に追われながらも「このやり方を、来年も続けられるのか？」と自問する現場が増えています。
2025年も終わりに近づき、ホテル朝食の現場では「一時的な変化」ではなく、構造そのものが変わったと実感する場面が増えてきました。人手不足、原価高騰、オペレーションの複雑化——。これらはもはや一過性の課題ではなく、前提条件になりつつあります。
本記事では、ホテル朝食の現場に日々関わる立場から、2026年に向けて確実に起こる変化をトレンドとして整理します。

トレンド① 朝食運営の「内製神話」が崩れる

これまで多くのホテルでは、

• 朝食は自前でやるもの
• 外注は最後の手段

という意識が根強くありました。
しかし2026年に向けて、この考え方は確実に変わります。
理由は明確です。

• 採用できない
• 教育が回らない
• 責任者が疲弊している

人に依存する内製モデルが限界を迎えているのです。
今後は「外注＝コスト」ではなく、
外注＝リスク分散・品質安定という評価軸に移行していきます。

トレンド② 「全部外注」ではなく、部分外注が主流に

2026年のキーワードは「全部かゼロか」ではありません。

• 朝食だけ外注
• 調理は外注、ホールは自社
• 人が足りない曜日だけ外注

など、現実的なハイブリッド型運営が増えていきます。
これはコスト削減のためだけではなく、
現場を回し続けるための選択です。
柔軟な外注設計ができるホテルほど、2026年以降も安定した朝食提供が可能になります。

トレンド③ 「豪華さ」より「再現性」が評価される

かつては、

• 品数の多さ
• 派手なライブキッチン

が朝食評価の中心でした。
しかし人手不足時代の2026年、重視されるのは再現性です。

• 誰が作っても同じ品質
• 欠員が出ても回る
• クレームが出にくい

つまり、運営として成立する朝食が評価されます。
結果として、
「派手ではないが、安定して満足度が高い朝食」が選ばれるようになります。

トレンド④ メニューは減るが、意味は濃くなる

2026年に向けて、朝食メニューは確実に絞られます。
理由はシンプルです。

• 仕込みが回らない
• 食材管理が追いつかない

ただし、単なる削減ではありません。

• なぜこのメニューを出すのか
• このホテルらしさは何か

意味のあるメニュー構成が求められます。
結果として、
「なんでもある朝食」よりも、
「記憶に残る朝食」が評価される時代になります。

トレンド⑤ 朝食は「収益部門」から「評価部門」へ

朝食単体で利益を出すことは、年々難しくなっています。
2026年以降、朝食は

• 口コミ
• 再訪
• 宿泊単価

に影響する評価装置としての役割が強まります。
そのため、

• 無理な原価率設定
• 現場を削る運営

は、結果的にホテル全体の価値を下げてしまいます。
朝食は「儲ける」より、
「評価を落とさない」「選ばれる理由を作る」部門へと変化します。

トレンド⑥ 運営会社に求められるのは「料理」より「設計力」

外注を検討するホテルが増える一方で、
2026年は運営会社の質がはっきり分かれる年になります。

• 人を出すだけ
• レシピを渡すだけ

では通用しません。
求められるのは、

• 人員設計
• 動線設計
• 原価と品質のバランス

朝食全体を設計できる力です。
これは今後、運営会社選定の重要な判断基準になります。

トレンド⑦ 「できない理由」ではなく「続ける方法」を考える

2026年に生き残るホテル朝食の共通点は一つです。
「できない」ではなく、
「どうすれば続けられるか」を考えていること。

• 人がいないからやめる
• コストが合わないから諦める

ではなく、

• やり方を変える
• 任せ方を変える
• 仕組みを変える

という発想が、朝食の未来を作ります。

おわりに｜2026年は、静かに差がつく年

ホテル朝食は、派手に変わるわけではありません。
しかし2026年、

• 無理を続けてきた朝食
• 仕組みを整えてきた朝食

この差は、静かに、しかし確実に広がります。
朝食はホテルの印象を決める最後の現場です。
だからこそ、
2026年に向けて、今一度立ち止まり、
「この朝食は続けられるか」を考える年末にしてみてはいかがでしょうか。

——ホテル朝食プロジェクト

著者：ホテル朝食プロジェクト ｜ カテゴリー：ホテル運営・外部委託